空高く、舞い上がれっ。
「失礼しました」

ノートを片手に職員室を出ると、ドアのすぐそばに輝空くんが立っていた。

「お疲れ」

廊下に出て疲れをドッと感じて思わずため息が出る。
なんだよっ、と笑う輝空くん。

「それ、さっきの?」

輝空くんが指さしたのは没収されたノート。

「うん。ほんと困ったからね~さっき」

ほんとバカだなぁー。と、笑う輝空くんをわたしはおおげさに睨んで見せる。

「それ、見せてよ」

興味津々な輝空くんに、見てもつまんないよ。と、一言言って手渡す。

見せることになるならもっと綺麗な字で書けばよかったなぁ……
両手を後ろに回し、モジモジ指をいじっていると。

「なに、詩でも書いてたの?」

輝空くんが寧音と同じようなことを言うので、ムギュッと耳をつまんでおいた。

「素振り、100本切り返し10回、打ち込み……なにこれ?」

物珍しそうにページをパラパラとめくる輝空くん。
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