契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
その間にも、男は鈴音の腰に手を添えたまま。むしろ、顔が近づいてくる。
鈴音は、なにが起きているのか頭が付いていかず、男の美麗な瞳を見つめるだけ。

妖艶に微笑む双眸がすぐそこにある。つい、本当に見入ってしまった。

「まったく。これだから目が離せない」

男はニコリと笑みをたたえ、大きな手で鈴音の頬を優しく撫でる。
鈴音は、助けてくれた男が山内に名刺を渡すのを茫然と眺めていた。

「なにかありましたら、こちらに連絡をください」

山内はおもむろに名刺を受け取り、それを見て吃驚した。

「それでは。行こう、鈴音」

スマートに挨拶をし、鈴音の肩を抱いてその場を後にする。

なにがなんだか未だに理解し難いが、とりあえず山内から離れられることに心から安堵した。

「ほ、本当に、ありがとうございました!」

寄り添って歩きながら、頭を下げる。
まだ後ろから山内が見ているかもしれないため、ふたりは寄り添ったまま。

「あんな切羽詰まった顔を向けられたら、無視するわけにもいかなかったからな」
「も、申し訳ありません。あの……先ほど、来店してくださった方ですよね?」
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