契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
そう。途中、鈴音が驚いたのは、彼がブラックカードの客だと気がついたため。
鈴音は、もしかすると、とんでもない相手に助けてもらったのかもしれないと肩を竦める。
「別れ話のいざこざか?」
半ば呆れたように言われ、鈴音は即座に否定した。
「ちっ、違います! 私、さっきあの人を知って……! ずっと見られていたみたいで、話していることもなんかおかしくて」
「ストーカーか」
はっきりとその単語を口にされると、やはり深刻になってしまう。
だが、今日だけのことだし、隣にいる彼のおかげで解決したかもしれないと、悪い方向に考えないようにした。
まずは笑顔からだ、と意識的に口角を上げる。
「なので、助かりました。できることは限られますけれど、なにかお礼をさせてください!」
「べつに、礼欲しさにやったわけじゃないけど」
「あ! でしたら、もしなにか私にできることがありましたら、連絡ください! お店にきてくださっても構いません」
鈴音はカバンをゴソゴソと探り、名刺入れから一枚引き抜く。それから手帳のペンホルダーからボールペンを取り出し、携帯番号を記入した。
名刺を手渡し、深く頭を下げた。
「本当の本当に、ありがとうございました!」
鈴音はそう言って、何度か会釈しながら帰って行く。
男は人混みに消えて行った鈴音を見て、手に残る名刺に呟いた。
「……『お礼』、ね」
そうして、内ポケットから携帯を出すと、迷わずどこかへ電話を掛ける。
「オレだ。ちょっと調べて欲しいことがある」
鈴音は、もしかすると、とんでもない相手に助けてもらったのかもしれないと肩を竦める。
「別れ話のいざこざか?」
半ば呆れたように言われ、鈴音は即座に否定した。
「ちっ、違います! 私、さっきあの人を知って……! ずっと見られていたみたいで、話していることもなんかおかしくて」
「ストーカーか」
はっきりとその単語を口にされると、やはり深刻になってしまう。
だが、今日だけのことだし、隣にいる彼のおかげで解決したかもしれないと、悪い方向に考えないようにした。
まずは笑顔からだ、と意識的に口角を上げる。
「なので、助かりました。できることは限られますけれど、なにかお礼をさせてください!」
「べつに、礼欲しさにやったわけじゃないけど」
「あ! でしたら、もしなにか私にできることがありましたら、連絡ください! お店にきてくださっても構いません」
鈴音はカバンをゴソゴソと探り、名刺入れから一枚引き抜く。それから手帳のペンホルダーからボールペンを取り出し、携帯番号を記入した。
名刺を手渡し、深く頭を下げた。
「本当の本当に、ありがとうございました!」
鈴音はそう言って、何度か会釈しながら帰って行く。
男は人混みに消えて行った鈴音を見て、手に残る名刺に呟いた。
「……『お礼』、ね」
そうして、内ポケットから携帯を出すと、迷わずどこかへ電話を掛ける。
「オレだ。ちょっと調べて欲しいことがある」