清廉の聖女と革命の鐘
つい先刻、父が言っていた言葉が脳裏をよこぎった。
たしかに父の言っていたこともあながち間違いではないのかもしれない。
クリスティーナはそう考えながら、片足を地面に滑らすようにして動かした。
ただ淡々と、決められた日程をこなし、こうやってたまに招待客をもてなす日々。
操り人形…。
クリスティーナは聖女という役目を望んでしているわけではない。だが、そのことに対しての怒りや悲しみの感情などは無かった。
あるのは失望の色をにじませた、諦めだけ。
クリスティーナは自嘲気味に笑う。
ステップは音色に合わせてどんどん速く、複雑なものになる。
「いつから、私は…」
そうぼやいた、その瞬間!
パリンッ!
「…くっ……っあ、あああああ!」
聞くに耐えないひどい音とともに、クリスティーナの内側で何かが弾けた。限界まで見開かれた双眸は焦点があわず、呼吸ができない。
四肢が硬直し両の指がこわばる。喉からほとばしった悲鳴は会場内に響き渡り、人々が「何事だ!?」「どうなさったんだ?」と、どよめいた。
「クリスティーナ様!」
いつもなら聖女様と、堅苦しい呼び方をするブルーノも、動揺しているのか初めて会ったときの呼称に戻っていた。