清廉の聖女と革命の鐘
「準備は終わったか?」
「えぇ。あなたには感謝します。正直、私が背を向けた瞬間、刃が心臓をつらぬくのではないかと冷や冷やしていたので」
振り返ったブルーノは軽く会釈した。
「涼しい表情で何言ってんだよ。
ふん。俺はそういう卑怯なまねはしないたちでね」
「あなたは騎士の模範ですね」
「俺は、騎士じゃなくて軍人だぜっ」
キイイインッ!
耳障りな金属音が高く夜闇に響き渡る。
「ふっ。卑怯なまねねぇ。急所ばかり狙ってくる人に言われたくはないのですが!」
流れる動作でブルーノは持ち手をまわして、心臓めがけて突いてくる剣を回避する。
「お前こそ、さっきから俺の手首ばかり狙いやがって!防御しにくいのわかってんだろ!?」
「当たり前です」
ブルーノは右足を、標的めがけて蹴り上げた。もともと体が柔らかくかつ強靭な筋肉を持ち合わせた足は、的確に打撃を与えた。
ぐっ_
男がうなり声を上げて右腕をおさえる。
「姑息な手ばっか使いやがって」
歯ぎしりする男にブルーノは冷たく笑う。
「よく言われます」