清廉の聖女と革命の鐘
「でもなんで気絶してるの~?確か今日がその子の婚約者の発表日でしょ?主賓がこんなところにいるなんて、ちょっと予想外なんだけど」
「は?」
そこまで情報が?
婚約者の発表は私や聖女様、そして恐らく、あのギルバートにさえ知らされてなかったというのに。
「ま、いっかぁ。おかげであいつらが見つけるより先に、僕たちが見つけられたんだしー」
「あいつら?」
「ミカ!余計なことをペラペラ喋るな」
男がミカを窘めた。
「うるさいなー。クラウディオ、君そんな態度とっていいわけ?そんなんだと助けてあげないぞ~」
この場にそぐわないまのびした声が、クラウディオと呼ばれた男を逆なでする。
「貴様っ!」
「うるさいですよ。聖女様が目を覚まされるでしょう?」
やれやれと溜め息をつき、すっとクラウディオの頬を剣でかすめた。ぱさりと男のフードが取り払われる。
綺麗にオールバックされた茶褐色の髪があらわれた。
「調子にのるなよ。ダリオ!さっさとこの男を片付けろ」
「はぁ。たく、めんどくせーなぁ」
言い終わる前に、ダリオがブルーノとの間合いを一気につめ、鋭く剣を降り下げた。
ブルーノは寸前でダリオの剣を避けるが、第二撃を避けきれずマントがざっくりと切られた。
「…はぁ。このマントは聖女様が丹精こめて刺繍してくださったものなのに…どうして
くれるんですか?」
ブルーノは凄みのある笑みを浮かべた。
_さすがに聖女様を抱えたままでは不利か。
「申し訳ありません、聖女様。一旦あなたのお側から離れることをお許しください」
ブルーノは意を決して浅い息を繰り返すクリスティーナをゆっくりと木を背に座らせた。