結構な腕前で!
「そんなことはないでしょう」

 さらっと萌実の考えは一蹴される。

「彼女の家が凄くても、別にこちらがへいこらする気はありませんので。そんなことに拘る奴ではありませんよ。そこにプライドはありません」

 それもどうなのだろう。
 ここまできっぱり言うということは、せとかもそうなのだろう。
 だがそうすると、ますますわからない。

「何が駄目なんですかねぇ。せとか先輩みたいに花粉症なわけでもないのに」

「ほんと、花粉症で良かったと思いますよ」

 その点は萌実も同感だ。
 せとかが重度の花粉症ではなく、由梨花に狙われたら。

---勝ち目ないし---

 考える余地もなく、勝てる要素が一欠片も見当たらない。

「あ、でも力では上回ってるかも?」

 声に出して言うと、せとかが、ん? と萌実を見た。

「さっき、真行寺先輩は私を見て、力が全然感じられないって言ったんです。真行寺先輩って、そういうのを見抜く力があるって言ってたんですけど、私には何も感じないって」

「ああ、まぁ確かに彼女は、僕らのような外向きの力よりも、内を見る力が優れているようですよ」

「そんな人が、何も感じられないってことは、私の力って大したことないんですかね。もしくは使いすぎてなくなったとか?」

 不安そうに萌実が言うと、せとかは、ははは、と笑い声を上げた。

「南野さんの力は、そんじょそこらのものじゃないんです。使ったからってなくなったりしませんよ。彼女が何も感じられなかったのは、強すぎて、返ってわからなかったんですよ」

「え?」
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