結構な腕前で!
「だからね、多分僕らが力を放出するときに感じる、電流が走るみたいな感覚。ああいう感じを彼女は内の力を見るときに受けるんだと思うんですよ。ただそれが強すぎると、身体に負担が出る。僕が南野さんのサポートなしに力を放出したときみたいにね。彼女はそれを、本能で感じるんでしょう。で、ヤバいぐらいの気のときは、感覚を閉じるんだと思います」

「へ、へぇ~……」

「南野さんの気は強すぎて、それを見たら身体が耐えられないと無意識に判断したので何も感じなかったんだと思います」

「そうなんだ。それって自分でわからないもんなんですかね」

「わかったところで、彼女からすると悔しいでしょうから、無理やりにでも感じない風にするんじゃないでしょうか」

 なかなかややこしい御仁のようだ。
 何でそんなあらゆる面でハイスペックな人間に目を付けられなければならないのか。

「南野さんは、僕らのような特殊業務の人間からは、喉から手が出るほどの逸材ですから」

「……ありがとうございます」

 せとかに褒められるのは嬉しいが、この言い方ではせとかの気持ちがわからないのだ。
 単に萌実の力を求めているのか、はたまたそれ抜きでも……?

---いかん。折角仲良くなったんだから、先輩の心を掴むよう努力しよう。私の力は、あくまでお近付きになるためのきっかけなんだから---

 この力のお陰で、一気に距離が近付いたのは事実だ。
 単に茶道部に入っただけだったら、ここまで親しくなっていないと思う。

「きっかけは最大限に活かして、目的を遂げるのだ!」

 腰に手を当てて拳を突き上げる萌実を、せとかは不思議そうな顔ながらも、面白そうに見守るのであった。
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