結構な腕前で!
第三十四章
 しゃくしゃくしゃく、とお茶を点てる音と、しゅんしゅん、という湯の沸く音が響く茶室。
 珍しく、茶道部員が全員顔を揃えている。
 空気は重いが。

「とりあえずですね、せとみの報告から参りましょう」

 はい、とバトンのように、せとかが点てたお茶をせとみに渡す。
 昨日の夜、せとかとせとみはその辺の報告をするべく自宅の茶室で顔を突き合わせていたわけだが、何か全然違う話に終始してしまって、肝心の本題に入る前に寝てしまったのだ。

「えーと、何だったかな。初代神の子? について、まぁ調べられるところまで調べたわけだが」

 ずず、とお茶を飲み、せとみがメモ帳を取り出す。

「神の子って言われるだけあり、確かに力は凄かったみたいだな。で、気になったのは、こいつの力だ。やっぱ、せとかの力も萌実ちゃんの力も持ってる。つか、あれだけの力を一人の人間が持ってたからこそ、長生きできなかったんじゃないかと思う」

「ほぅ? 壺として死んだわけではないわりに、結構早い死だったようなのは、時代のせいではなかったのですか」

「うん、まぁ、それもあるとは思うがな。でも多分、俺たちと同じくらいだったと思うから、当時としても早いほうだろ」

 せとみのメモ帳には、簡単な年表が記されている。
 大雑把なようで、なかなか几帳面だ。
 はるみが少し感心したように口を開いた。

「よっく調べたわねぇ」

「せとみにしちゃ珍しい。やっぱり萌実さんのためだから?」

 はるかが、すかさず突っ込む。
 いつもならここで絶妙のハモりが入るのだが、今回ははるみのほうが賛同していないため、ここで止まった。

 はるかのほうは、そんなことよりせとみの反応のほうが気になるようで、にまにまと笑っている。
 せとみと萌実は同時に小さく舌打ちし、せとかはちらりと萌実を見た。
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