結構な腕前で!
「でね。そもそも何でせとかはあんまり動かないのかってことだよ」

「せとみ先輩のほうが強いからとかじゃないんですか?」

「腕っ節はね」

 またも何か自慢げに、せとみはぽんと己の二の腕を叩いた。

「せとかはね、さっきも言ったように、内在する力が強い。目に見えない力っていうのかな。そういうのを一気に放出できる。さっきの、でかい魔を一瞬で霧散させるような力だね」

「念力みたいなものですか?」

「ものは動かせないよ。どちらかというと、破壊する」

 何とまぁ、ぼーっとしたせとかには似つかわしくない激しい力だ。
 ちょっと唖然としていると、せとみが少し身を乗り出した。

「でもね、せとかは力の放出は滅多にしない。負担が大きいんだ」

 確かにあの後、ぼー率は上がったな、と思っていると、廊下をぱたぱたと足音が走って来た。

「せとか、一応寝てるけど、寝なくても大丈夫みたい」

「久々だから、身体がびっくりしただけっぽい」

「「それより結界ぼろぼろだった~~」」

 口々に騒ぎながら、はるかとはるみが部屋に駆け込んでくる。
 そして、二人一緒にすとんと座った。
 毎度のことながら、双子とはいえ素晴らしく息ぴったりだ。

「改めて、凄いな、萌実ちゃん」

 二人の報告を受けて、感心したようにせとみが言った。

「あの。せとか先輩の力のことはわかりました。でも何で、そこに私が絡むんです?」

「もっともだ」

 うん、と頷き、せとみはずい、と膝を進めると、いきなり萌実の手を取った。

「なっ何ですかっ」

 驚く萌実を、せとみは少しの間、じ、と見た。
 そして、すぐに手を離す。

「……あのね。萌実ちゃんは、最強の守りだって言っただろ? それと共に、せとかのサポートもできるんだ」

「えっ」
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