超短編 『エキストラ』 2
「ユキエ、災難だったね」

ユキエが意識を取り戻すと、病室のベッドの上だった。

いつの間にか、ルリがいる。

そして、その横には洋介が立っていた。

「事務所のマネージャーから、電話があって駆けつけたのよ」

「あ、そう。でも、私、なんで病院にいるのかな」

「ユキエ、覚えていないの? 撮影中に事故があってさ」

ユキエは少しづつ、思いだしてきた。

そういえば、あの人は・・・・


「ルリ、あの若い役者さんは?」

ユキエが聞くと、ルリは顔を曇らせた。


洋介がユキエのそばにきて、言った。

「しっかりしてくれよな。あの人は残念ながら、亡くなったよ」


ユキエは、その言葉であの事故の瞬間が再び頭をよぎった。


「あの時、何もできなかった。私の足を掴んで、痛いよって言ったのに」


ユキエはあの時掴まれた足の感覚を思い出した。

まるで今も掴まれているような・・・


「それから、、、」

洋介が言いにくそうに話を続けた。



「その時掴んだ彼の右手、まだ付いたままなんだ、君の足に・・・」

< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

超短編 『当選』
東鋳明/著

総文字数/2,503

ファンタジー6ページ

表紙を見る
超短編 『ヒーロー』 2
東鋳明/著

総文字数/849

ファンタジー1ページ

表紙を見る
超短編 『ヒーロー』 1
東鋳明/著

総文字数/1,942

ファンタジー3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop