初恋のキミは最愛ヒーロー
「お前のお節介パワーは今日も威力全開だったな。紅月に“しつこい”とまで言わせたぐらいだし」
「あの時、かなりウザそうにしてたよね、紅月くん」
目に見えて不機嫌な顔してたのは分かっていたけど、それでも抑えられなかった。
あのまま、“はい、さようなら”なんて無理な話だ。
「俺は、放っておけない精神で真っ直ぐに突き進む碧瀬の姿を見て、羨ましいと思った。お前みたいな度胸のあるヤツって、なかなか居ねぇよ。最終的に、俺も桃舞も感化されちまったし」
「褒めてくれてる…?」
「今のが皮肉に聞こえるか?」
不満げな視線を向けられ、ブンブンと首を横に振ると、壱夜くんはフッと小さく笑った。
「今日は、ありがとな。紅月のこともだけど、俺と桃舞のことも」
「えっ…?」
「碧瀬が桃舞の心を救ってくれたから、俺らは心と心をぶつけて話すことが出来たんだと思う。あの過去から前に進むことが出来たのは、お前のおかげだよ」
そんな風に言ってもらえるなんて、思ってもみなかったから、とても嬉しい…。
壱夜くんたちの力になれて、良かった…。