少女、紅茶香る





 三年前。

 私と喜沙が中学二年生のころだ。いつもは一緒に家まで帰るはずの喜沙が、その日は一緒に帰らなかった。親と出かける用事があるから車で帰る。と。
 
それなら仕方ない、と一人で下校していると、途中で喜沙とその横に並んで歩いている男が目に映った。後で聞いた話だが、その日喜沙はその男に激しく交際を求められていて、一度だけデートすれば諦めると言われての行動だったそうだ。
  
 しかし当時の私はそんなこと知るはずもなく、男がいることを秘密にされていた虚しさと、自分よりも優先される者への嫉妬心から後を追った。始めは遠くからほんの少し眺め見るだけで帰ろうと思っていた。だけど歩き進めるにつれて、それが男女が行為を行うための場所に向かっていると気づいて二人を追う足が止まらなくなった。


 どんどん、うす暗く細い路地に入っていく。喜沙はどう見ても不安げな顔をしていた。おそらく相手の男に騙されていたのだろう。しかしその時の私は焦りと戸惑いからそんな事にも気付かず、ただただ後を追うことに夢中になっていた。
 

 だからだと思う。私が見知らぬ男に誘拐される羽目になったのは。気がつけば、私は口元をハンカチで覆われて、車の中に身を投げ込まれていた。その際に、即効性の麻酔薬か睡眠薬でも嗅がされたのだろう。その瞬間のことはあまりよく覚えていない。

 目覚めたときにはすでに、私の中に男のものが入っていた。身に纏っていた制服などは剥ぎ取られていて、下着は包んでいたものを露わにするようにして乱暴にずらされていた。知らない間に男は何度頂点に達したのか、私の体には白く粘っ濃い液体がベトベトと張り付いていた。意識を取り戻してからは、私は情けないほど大きな声で喘いでいた。怖い、という感情が無かったわけじゃない。だけど確かに、快楽も私の中に存在した。
 

< 3 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop