【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!

あのレストランだ。
梨田の恵比寿のレストランで働いていたスタッフの一人だ。

あのときは制服姿だったし、今より化粧も薄かった。髪も束ねていたから当然雰囲気も違う。だが、間違いなく、大きくて力のある目には見覚えがある。



エレベーターから降りて考えながら、ゆっくりと歩きエントランスまで来た芽衣はピタリと足を止めた。

あのスタッフの女性は、何故ここにいるのだろう。

突然休んだオーナーの家に店のスタッフがお見舞いに来たのだろうか。



ここは、オートロックのマンションだ。マンションの住人で鍵か暗証番号がわからなければ、勝手にエントランスの扉を開けることは出来ない。

芽衣が梨田の家にいた時には、インターフォンがなることはなかった。

あの女性とすれ違った場所から考えても、芽衣がいた時にはインターフォンが鳴ってもいいはずだ。

このマンションの住人? 20代の若い女性が一人で住めるようなマンションだとも思えない。

だとしたら家族で住んでいるのだろうか?

彼女は7階でエレベーターを降りた。

偶然、店のオーナーと同じマンションの同じ階に住んでいる女性スタッフ。そんな出来すぎた話は、ありえるだろうか?




となれば……。



芽衣はエレベーターを振り返る。

簡単に思いつく事があった。
それが一番考えられる話だ。

扉が閉まり動き出したエレベーターを眺めて芽衣は、唇をきゅっと結んだ。








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