散歩道
『麻里ー!』


体育館の奥からみなみが、笑顔で手を振っている。

周りにいるバスケ部の人たちも、いっせいに私の方を見た。



あーぁ。終わりだ。



私は、みなみに曖昧な返事をしたその日に、バスケ部の練習を見に行った。

もちろん。
こうなることを覚悟の上で。



『麻里!来てくれたんだねっ』

『…うん』

『麻里なら来てくれると思った♪入ってくれるんだよね?』


みなみの圧しは強い。

こうなることは分かっていたけど、少し後悔していた。


『今日はただ…』

『先輩♪この前話した麻里です』

今日はただ、練習を見に来ただけなの。

そう言おうと思ったのに、みなみは、一人で話しを進めていく。


『バスケ部入ってくれるみたいですよ♪』

『まぢで?よかったぢゃん、みなみ♪』


私を無視して話は進む。


やっぱり。
入るしかないのか…

こんなことなら、曖昧な返事なんてしなきゃよかったよ。


『よろしくね、麻里ちゃん♪』


みなみと話していた部長らしき人は、笑顔で言った。


『あ…はい』

たぶん。
今の私、苦笑い。
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