妹の恋人[完]
時々学校帰りにカナコが遊びにきてくれたりしたけど、彼女も3年生なりに忙しくて。

一度隣に住んでいるハナちゃんと一緒にお見舞いに来てくれたときは、折り鶴の束を持ってきてくれたっけ。

「1000羽は折れなかったけど、早く良くなってね」

真っ赤な顔をしたハナちゃんが、俺に持ってきてくれて。

「ハナちゃん、ありがとう」

いつもカナコにするように頭をなでてあげるとすごくうれしそうに笑ってくれた。

二人はいつもけらけらと笑いながら病室を後にするんだ。

今日は手元に残った鶴を見て、なんだか嬉しくてにやけてしまう。

ハナちゃんとカナコの気持ちのこもった鶴。

看護婦さんにお願いして、点滴を吊るす所に引っ掛けてもらった。

うん、いいんじゃないの?

毎日のんびり過ごしていると曜日の感覚がなくなってしまうので、どうにかして感覚を取り戻そうとあれこれ試してみたけど、どうもだめで。

テレビをもともとそれほど見ないので、意味もなくテレビを付けておくこともできなくて。

教科書を開いていても、受験生でもないのでさすがに飽きてきてしまう。

なんとなくぱらぱらと高橋さんのノートをめくりながらふと外を見ると、なんだか暑そうで。

ああ、そういえば今日って俺の誕生日だっけ・・・なんて。
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