妹の恋人[完]
「コウヘイ、誕生日会やろうか」

なんて突然母さんが小さな子供に言うように俺に問いかけてきて。

その姿がすごくおかしくて、思わず笑ってしまった。

「母さん、俺もう16歳になるんだよ。誕生日会って・・・!」

「あら、いくつになっても誕生日はうれしいんじゃない?」

実はケーキは用意したのよ~なんていう母さん。

「え、ケーキ?」

ちょっと予想外の言葉に、少しうれしくなる。

さすがに病院食ばかりで、ケーキなんて食べていなかったし。

「そう、夕べカナコと作ったの。後でカナコと持ってくるわね」

カナコ・・・。俺のためにケーキを作ってくれたんだ。

俺の事故で、結局プレゼントが何が欲しいかという問いに対する答えは出せないままだったけど、手作りケーキなんて嬉しいかも。

「ありがとう」

カナコにはお兄ちゃんにはまだ秘密!って言われているから、内緒ね!

そういう母さんは、そろそろカナコの帰宅時間だからと家へ帰って行った。

入院してから毎日病院と家を往復している母さん。

なんだか申し訳ないけど、ありがたい。
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