妹の恋人[完]
忙しいことを理由に、俺からもあまり連絡をとらなかったのは事実だけど。

でも、連絡がなくても、こちらからしなくても、以前のように高橋さんのことを考える時間が少なくなっていたのも本当のことだった。

『・・・ごめんなさい』

涙声で俺に謝っている彼女。

さみしい思いをさせていたのなら、俺のせいかもしれない。

きっと、これは最後の電話。

悔しいとか、悲しいとか、怒りとかなんだかよくわからないいろんな感情がこみあげてくるけど、終わりなんだと漠然と頭で考えていて。

きっと、彼女からは切りだすことができないであろうその言葉を、俺が口にするべきなんだろうか。

電話の向こうで、俺じゃない男と一緒にいる高橋さんに、以前のように愛おしいと思う気持ちはなくて。

恋はこんなに簡単に冷めてしまうものなんだろうか。

どうにか元に戻りたいと思う気持ちも無くて。
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