Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
「いいえ、残念ながらこのおまじないは、私には効果がないようです」
夕緋が目を瞬かせる。
その顔に思わず吹きだしてしまった。
恋愛スキルゼロの私だったけれど、彼をちょっと苛めるくらいのテクニックなら身に着いたのかもしれない。
「……だって、私の心はもうとっくに――」
一歩足を踏み込むと、私の身体は薔薇の海を漂い、淡い波とともに彼の腕の中へと辿り着いた。
途中、この身を隠していたバスタオルが取れて、私がもといた場所に浮かび上がる。
なにも身につけていない素肌の私を、夕緋はぎゅっと抱き留める。
「夕緋しか見ていませんから」
情熱的な紅い薔薇と温かくて力強い腕に抱かれて、こんなにも幸せだと感じられたのはきっと生まれて初めてだと思った。
見上げると彼はどんなお菓子やケーキよりもずっと甘い瞳で私を見つめている。
「俺も同じだよ、華穂。生涯君だけを愛すると誓うよ」
そのとろけるような笑顔に私はすべてを捧げる――
この薔薇の花々に、左の薬指に輝くリングに、一生の誓いを立てるのだった。
【END】
夕緋が目を瞬かせる。
その顔に思わず吹きだしてしまった。
恋愛スキルゼロの私だったけれど、彼をちょっと苛めるくらいのテクニックなら身に着いたのかもしれない。
「……だって、私の心はもうとっくに――」
一歩足を踏み込むと、私の身体は薔薇の海を漂い、淡い波とともに彼の腕の中へと辿り着いた。
途中、この身を隠していたバスタオルが取れて、私がもといた場所に浮かび上がる。
なにも身につけていない素肌の私を、夕緋はぎゅっと抱き留める。
「夕緋しか見ていませんから」
情熱的な紅い薔薇と温かくて力強い腕に抱かれて、こんなにも幸せだと感じられたのはきっと生まれて初めてだと思った。
見上げると彼はどんなお菓子やケーキよりもずっと甘い瞳で私を見つめている。
「俺も同じだよ、華穂。生涯君だけを愛すると誓うよ」
そのとろけるような笑顔に私はすべてを捧げる――
この薔薇の花々に、左の薬指に輝くリングに、一生の誓いを立てるのだった。
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