Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
平凡な私には、彼より優れているものなんてなにもない。
けれど、彼の弱さを抱きしめて愛してあげることならできる。
強くて、頼もしくて、誰よりも恰好よくて、けれどたまに弱々しくてみっともない彼の、すべてを私は受け入れてあげられる。
私が自分に自信を持てるのは、彼に対する愛情くらいだ。
「これがその、おまじないですか?」
私の言葉に夕緋は「ん?」と優しく首を傾げた。
「私が夕緋だけのものになるように、おまじないをかけておくって言ってましたよね?」
すると彼は「ああ」と笑って、私の手からその薔薇に括られたリングを受け取った。
「そうだよ。このリングをつけるとあら不思議、俺以外の男性を愛せなくなってしまうんだ」
芝居がかった口調でリングを薔薇から外すと、私の左手をそっと持ち上げて、薬指に滑らせた。
するりと指の根もとに収まったリングは、周囲の薔薇の花びらを受けて、キラキラと紅色の輝きを放つ。
「どう? 効果はあった?」
ちょっと意地悪な顔で夕緋は微笑んでいる。
その顔はきっと、私の心がとっくに囚われていることに気づいているんだ。
私の心は、夕緋だけのもの。
私を守ってくれたあの日から――ううん、もっともっとずっと前、もしかしたら、出会ったその瞬間から、すでに奪われていたのかもしれない。
けれど、彼の弱さを抱きしめて愛してあげることならできる。
強くて、頼もしくて、誰よりも恰好よくて、けれどたまに弱々しくてみっともない彼の、すべてを私は受け入れてあげられる。
私が自分に自信を持てるのは、彼に対する愛情くらいだ。
「これがその、おまじないですか?」
私の言葉に夕緋は「ん?」と優しく首を傾げた。
「私が夕緋だけのものになるように、おまじないをかけておくって言ってましたよね?」
すると彼は「ああ」と笑って、私の手からその薔薇に括られたリングを受け取った。
「そうだよ。このリングをつけるとあら不思議、俺以外の男性を愛せなくなってしまうんだ」
芝居がかった口調でリングを薔薇から外すと、私の左手をそっと持ち上げて、薬指に滑らせた。
するりと指の根もとに収まったリングは、周囲の薔薇の花びらを受けて、キラキラと紅色の輝きを放つ。
「どう? 効果はあった?」
ちょっと意地悪な顔で夕緋は微笑んでいる。
その顔はきっと、私の心がとっくに囚われていることに気づいているんだ。
私の心は、夕緋だけのもの。
私を守ってくれたあの日から――ううん、もっともっとずっと前、もしかしたら、出会ったその瞬間から、すでに奪われていたのかもしれない。