桜色の涙

「俺が言える立場じゃないけど、どうして星那がそこまでするんだよ」


「どうしてかな。私にもわからないよ」


薄く笑みを浮かべながら悠大の言葉にそう返す。




夏祭りの日もそうだった。


本当に友達と来ていたの。『友達と行くから』と迅に言った言葉の中に嘘はなかった。


でも、その友達とはぐれてしまったときに偶然ぶつかったのが悠大だった。


悠大も同じクラスの友達と来ていて、もちろんその後一緒に回ることになるなんて思ってもいなかった。


結局友達と合流できるまでずっと彼らと一緒にいた。



でも友達がその姿を見ると。


『星那ちゃんは悠大くんと一緒に回りなよ』


『そうだな。じゃあ他の子は俺と一緒に回ろ?』


お互いもともと一緒に来ていた人にそう言われて、半強制的に一緒に回ることになった。



でも、久しぶりに話すと懐かしくて楽しくて、時間を忘れてしまうくらいに私達の距離は戻っていたはずだったの。


そう、花火が鳴るそのときまでは。
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