桜色の涙


そっと桜の花びらが舞う。


触れたら壊れてしまいそうな美しくて儚くて切ない桜。俺はそんな人を守りたいと思う。


桜にはきっとみんなの憧れが詰まっているんだろうな。そんなことを考えながらまた前を向いて歩きだす。



俺の名前は広瀬迅(ひろせじん)。


この春、高校1年生になる。


高校は家から遠い場所で知り合いもあまりいない。行ったことのない場所で不安もあるけど、そこは桜が綺麗なんだ。



俺は昔から桜が好き。小さい頃は桜の木の下でずっと走り回っていたらしい。


女子みたいだけどお花見だって行くし、眺めては写真を撮ったりもする。


春にしか咲かなくて儚い感じがするけど、俺達の祝福を高いところから祈っている強くて優しい木なんだ。
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