桜色の涙

『……わかった』


静かに呟いて視線を下げる。


すると、星那の瞳が揺れた。何かと思いその視線の先を辿ると……そこには困惑したように立ち尽くす広瀬がいた。


その姿を見つけると、星那は俺の腕を引っ張り─────。



そこからはあまり覚えていない。気づいたら懐かしい感触が唇にあった。


我に返ると、そばで見ている広瀬の存在を思い出した。


そういえば、アイツ……。チラッと横目で見てみると青ざめた顔で呆然とこっちを見ていた。



きっとこれで作戦成功なんだろ?広瀬を傷つけるってことで良かったんだろ?


それで俺を利用したんだよな。


広瀬は信じられないものを見たという顔で立ち去っていった。
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