桜色の涙

『で、用って?』


でも、真剣な顔で言われたその言葉に耳を疑った。


『私に、キスして』


どうしてそんなことを言ったのか理由はわからなかった。


でも、星那とキスできるんだ。本当にチャンスだと思った。



『悠大以外には頼めないの。お願い……』


星那は広瀬とキスした?聞きたいけど、その言葉が喉の奥でつっかえて出てこない。


俺が最後にキスしたのは……星那と別れた日に知らない女にされたのが最後だ。


あれは不可抗力だったのに。まさか星那に見られるなんて。それからは自分から女に触れようとしたことはない。



星那とのキスで緊張するなんて俺らしくないな。


でもこれが恋なんだ。やっぱり俺が恋をするのは星那だけだ。
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