僕の恋人
過去~ボクサイド~
ボクが死体しか愛せなくなったのはいつからだろう?


思い出そうとしても思い出す事ができなかった。


それはきっとずっと昔、母親のお腹の中にいる頃から始まっていた性癖だったかもしれない。


ボクは人を殺し、業務用の冷凍庫の中に保管し、時折取り出して愛でるのが好きだ。


そうでしか愛情を表現することができない。


動かなくなった愛しい人を見て、体が弱いので介護をしなければならないと設定をつけ、その通りに動けばいい。


頭の中で愛する彼女との会話だって楽しむことができるんだ。


それでいい。


それで、ボクは満足することができるんだ。


もちろん、人に言う事なんてできない。


こんな性癖が異常だってことは、ボク自信がよく理解しているから。


死体が腐敗をはじめて体がガスで膨らめば妊娠したと喜び、ガスが抜ければ流産したと嘆く。


食べ物は無理やり口にねじ込み、吐き出せば体調が悪化していると判断する。


そのストーリーは大抵いつも同じものだった。
< 98 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop