雨降る午後に
雨降る午後に

あたしは、通っている専門学校のビルから出、走って最寄り駅にたどり着いたとこだった。

外に出て歩き出したとたん、

パキッと空が裂けて、これでもかって量の雨が落ちてきた。

雨の降る直前の香りも、ぽたぽたっとくる、雨の前置きも、何にもなかった。

傘もないあたしは、ハルヒに渡すノートをかばいながら、必死に駅に逃げ込んだ。

それが今だ。三鷹が彼女と改札を抜けていく。

傘は持ってないけれど、服が濡れている様子もない。

どうも、雨に降られる前に、優雅にここにたどり着いていたらしい。

あのヤロー

頭にくる。

三鷹は春陽に借りたノートを、返してきてほしいとあたしに押し付けた上で、

『実は、借りられたのはいいんだけど、まだコピーさせてもらってなくて。悪いけど、コピーもしておいてくれないかな』

ズルっ!

と思った。

コピーをして、返してくれって言われてたら、引き受けなかったのに。
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