雨降る午後に

いい香りのする、タオル。

そうか、びちょぬれだった、あたし。

「雨、降ってたんだな、気が付かなかった。で、何でここ、知ってたんだ?」

あたしは無言でリュックを下ろし、ノートを取り出す。

「これ」

春陽の目がノートの付箋を見つける。

「何だこれ?」

「三鷹君に、してやられた。自分は彼女と会うからって、コピー取って、春陽君にこのノートを返しとけって。確かに届けたよ」

ノートを押し付ける。

「あ、ありがと…って」

「じゃね」

用が済んだので、雨の中に戻ろうと、体をねじる。

でも、がっちりと腕をつかまれる。

「ちょっと、おいで」

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