雨降る午後に
そのままズルズル引きずられて、中に入る。
「ええっ!?春陽に拉致られるの!?あたし」
春陽はちらりとあたしを見て呆れた顔でため息をつく。
「拉致らない。拉致らない。そのままじゃ、電車にも乗れないだろう」
それもそうなんだ。
あたしは素直に狭い階段を昇る。
春陽がどうにか手を貸してくれるようなので。
2階のすぐの部屋が春陽のおうちだった。
「どうぞ」
開けたドアから、部屋の中が全部見える。
右手に小さなキッチンがあってその奥にベット。
左の空間には、ローテーブル。
黒っぽいフローリングの床で、意外にもキレイに片付いている。
というか、あんまり物がない。
「綺麗にしてるね」
吸い込まれるように中に入る。
「せんべい布団を敷きっぱなしってイメージなのに」
「そういうイメージなんだ、オレって」
苦笑いしてる。
「オレので悪いけど、着替え何か貸すから」
入り口で立ち止まっているあたしをすり抜けるために、春陽が体をひねりながら中に入っていく。