副社長のイジワルな溺愛

 彼女を抱き上げ、寝室へ。
 ドアを脚で押し開け、キングサイズのベッドにそっと下ろすなり、俺は押し倒して跨った。


「他の男に、容易く触れられるな」
「っ!!」

 ジャケットを脱いでベスト姿になり、答えた彼女の唇を早速奪う。
 ネクタイを解いて放ったら、ベッドの端で泳ぐように曲線を描いた。


「茉夏は誰の女か、分かってる?」
「……慧さん、です」

 言葉では問いただすようだけど、どうしたってキスは甘くなる。
 彼女は俺を解ってくれているのだろう、少しも怯えずにうっとりと見つめてから、目を閉じた。


 唇を重ね、舌を絡め、吐息を漏らす。
 単に欲を満たして果てたいだけの行為なんかじゃない。

 この連続が甘美で幸せだと思えるのは、きっと茉夏だから。



 ――茉夏、俺はこんなにも君が好きだ。愛さずにいられなくて、どうにかなりそうなほどに。



「お前が望むなら、毎日抱いてかわいがってやる」


 彼女の服も少しずつ剥ぎ、綺麗な素肌に触れていく。

 最深までひとつになった快感で彼女の身体が跳ねるたび、俺は愛を落としつづけた。


             ― fin ―
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