副社長のイジワルな溺愛

「明日から何しようか」
「そっか! 慧さんもお休みに入ったんですよね。うーん、どこに行こうかなぁ」

 水族館デートもしてみたいし、晴れた日に広い公園でピクニックもしてみたいなぁ。
 レンタサイクルで街を走るのも気持ちよさそうだし、彼の運転でどこかに遠出もしてみたいし……。
 一緒に料理をしても楽しそうだなぁ。


「っ、ちょっとやだっ!!」

 考えている私を不意を突いて、彼が白い歯を見せて笑いながらくすぐってきた。
 私の弱いところを知っている彼の手は、いくら身を捩って逃げても許してくれなくて。


「もう、無理っ!!」

 彼の両手を掴んで抵抗したら、勢いよく押し倒されて彼を真上に迎える。
 既に熱量のある瞳に射抜かれて、大きく鼓動が弾みだす。



「お前が可愛すぎるせいで、俺が今日どれだけ妬いたと思ってる?」
「そんなの、慧さんも同じでしょ?」
「俺はいいの」
「ずるい……っ!!」

 唇を塞がれて何も言い返せなくなると、Yシャツのボタンがひとつずつ外された。


「出かける前から、ずっと抱きたくてたまらなかった」

 耳元で囁く彼の熱い吐息で、私はそっとまぶたを閉じた。


             ― fin ―
< 367 / 386 >

この作品をシェア

pagetop