副社長のイジワルな溺愛

「ちょうどいいんじゃないか? 俺の秘書のサポートをするのも、ひとつの魅力磨きになると思うが」
「そんなっ!!」

 伏せていた顔を上げて言い返そうとすると、文句でもあるのかと言いたげな表情が待っていた。

 やると言わないと今日は帰してもらえないみたいだし、会社にいる時よりも深い色気を漂わせている副社長と長時間一緒にいたら、ドキドキして心臓が壊れてしまうんじゃないかと思う。


「わかりました……やらせていただきます……」
「毎週金曜、副社長室に来るように」

 肩を落として返事をすると、副社長は笑ってソファに大きくもたれた。


「それと、今度時間のある時にヘアサロンに行きなさい」

 不意を突いた言葉に振り向くと、副社長が後ろから私を見つめて微笑んでいる。


「パーマをかけたほうがいい。ストレートも悪くないけどな」
「どんなパーマがいいですか?」
「緩いやつ。ふわふわした印象のがいいだろうな」
「わかりました。やってみます」

 副社長の秘書のサポートをすることになってしまったけど、自分のためにも、倉沢さんとお近づきになるためにも、彼のアドバイスは本当に参考になる。
 昼間だって、倉沢さんに「かわいい感じ」って言ってもらったばかりだ。


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