副社長のイジワルな溺愛

「では、そういうことで……お邪魔しました」

 ソファから立ち上がって、リビングのドアへ向かう。
 さすが、副社長が暮らしている豪華な部屋は、リビングだけでも私が一人暮らししている部屋より広くて、ドアまでが遠い。


「帰るのか?」

 不意を突かれて振り返ると、副社長がソファからゆっくり立ち上がって、私に向かってくる。


「君は気が利かない女だな」

 そんなことを言われても、私なりに気を利かせてなるべく早くお暇した方がいいと思って……。


「食事くらい作ってくれるかと期待してたんだけど」
「私、副社長の秘書のサポートはするとお約束しましたが、私生活までサポートするとは言っていません」
「そうじゃなくて」

 ドアレバーに伸ばしていた手を取られ、引き寄せられるままリビングに数歩戻された。


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