『好き』を伝えたい
私、仲村未来は、1年前、この会社に派遣されてきた。
データ入力、資料作成などが主な仕事として、この営業部で働いてきた。

ほぼ1日PCとプリンターの間を行ったり来たり。
といっても一番端の私の席から、プリンターまでは、徒歩5歩。万歩計を着けたら、私の1日は1,000歩もいかないだろう。完全な運動不足の毎日だ。

(ヨガ習おうかなぁ)

なんて考えるのも毎日のことで、実行されたことは今までない。そんなものだ。


つい脱線してしまう思考を戻し、まとめた資料の最終確認し、作成者の判を押した。
なんとなく前髪を整え、席を立ち、待ち人の席に向かう。


「失礼します、櫻井主任、お待たせしました。確認お願いいたします。」

後ろ姿にかける声が高めになってしまうのはいつものこと。そんなに毎回緊張しなくてもいいのに、と自分でも呆れてしまう。

「おっ?できた?はいよ」

ちゃんと私の方を向くのではなく、椅子の背もたれを倒すように仰け反って伸ばす手に、資料を渡す。

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