『好き』を伝えたい
「ではよろしくお願いいたします」

席に戻ろうとすると、

「あっ、ちょっと待って!」

「えっ?ミスがありましたか?申し訳ありません、すぐに修正します!」

あわててまた主任の席に駆け寄る

「違う違う!そうじゃなくて…。ちょっと一服しよ?付き合って?」

そう言いながら、櫻井主任はもう出口に向かっている。私はその後ろ姿を見送っていると、主任は振り向き、『早く』と口パクで言った。



「コーヒーでいい?」

休憩室の自販機の前で主任が私に尋ねる。

「あっ、はい。…あっ、でも自分で…あっ、財布…」

急いで主任を追いかけた私は財布をもたないで来てしまったのだ。

「いいから。オレが付き合ってもらったんだから。…はいよ」

「…ありがとう…ございます…」

『付き合って』て言葉にさっきからドキドキしてしまう。
…主任は何も考えてないと思うけど。

「資料、ありがとうね。仲村さんの作るのは、丁寧だし、見やすいしホント助かるよ」

「ありがとうございます」

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