誰も知らない彼女
そんなことを高い建物から飛び降りたえる本人じゃないとわからないことなので、あえてネネに質問はしなかった。


握り拳グッと力を入れる私をチラッと見て、ネネが言葉を続けた。


「で、由良だけど。学校に来てなかったの。なんで来てないんだろうと思って先生に聞いたんだ。そしたら……由良が昨日の夜に家から出たきり帰ってきてなくて、まだ見つかってないって言ってたの」


その言葉を聞いた瞬間、頭が鈍器で殴られた感覚に襲われた。


今、ネネはなんて言った?


由良が昨日から見つかってない……?


クラス一の嫌われ者になって狂っていたとはいえ、私の親友が家に戻ってきていないという事実が重くのしかかってくる。


「えっ……由良が帰ってきてない……⁉︎」


「うん。先生は、由良が夜に家を出たきり家に帰ってこないことを不審に思って由良の両親に詳しい説明を求めたんだけど……由良の両親はただ泣くばかりで全然わからないんだって」


なぜ由良が見つからないのか、と聞く前に言葉を返すネネ。


もしそのことを由良の両親に聞いても、なんで家を出たのかがしばらく謎のままになりそうだ。


「そ、そうなんだ……」


たん混じりの声になったことにスルーして、ボソッと消え入りそうな声でつぶやいた。


なんで由良まで帰ってこなくなったんだろう。
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