あなたしか見えないわけじゃない
「だって、私が水槽の前に立ってもお魚達が集まってくるようになったんだもん、かわいいでしょ?」

「え?そうなの?すごいじゃん。飼い主認定されたんだ」

「そうみたい。給餌タイマーだって私が買ってきたし、餌もあげる日が増えたから私も飼い主だー」

胸を張って自慢してやる。

「そうだそうだ、藤野はエライ」

私の頭を撫で両腕の中に閉じ込める。
温かいぬくもりと彼の香り。
私は幸せの中にいた。
こんな日がずっと続けばいいのに。
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