あずゆづ。
私はハッとして、ひよりを見る。
「な、なんでもない!」
ま、まずい。
今の一連の流れ、見られちゃったかな。
「……えへへ」
だけど、でも。
自然と頬が、緩んでしまっていた。
「梓ちゃん、なんかいいことあった?
さっきまで泣いてたのに……大丈夫?」
「あ、いや……」
隣に座るゆうちゃんに唐突にそう聞かれ、私は苦笑いを浮かべた。
いいこと……
……あったかもしれない。
私しか知らないゆづくん。
私とゆづくんしかわからない合図。
二人だけの秘密……みたいで。
なんだろう、私、今……
すごく、嬉しい。