あずゆづ。

「―――……」


初めて、男の人とキスをした。

恥ずかしいとかそんな感覚は、不思議となくて。

ただ、したかった……っていうのが率直な感想。


ゆっくり、目を開けると。


「………」

「………」


―――あれ?


さっきまでかわいらしく、かつ気持ちよさそうにすやすやと穏やかに、まるで天使のようなお顔でおねんねしていたはずのゆづくんが。


目を、開けている……?


その赤い瞳には、ばっちり私も映っている。


つまり、やはり、ゆづくんが、目を、覚ましている、ということ、だ。



ん?

……え!?


「!?!?!?!?」


声にならない声を上げて、私はゆづくんから勢いよく離れた。


「………っ」


さすがのゆづくんも、目をまん丸く見開いている。



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