あずゆづ。

ゆづくんの顔をのぞき込めば、

たちまち鬼の形相が私を睨んできた。


「―――……っ」


一瞬だった。


一瞬で視界が真っ暗になって。


唇が熱くなって。


あー、私今


ゆづくんとキスしてるんだって気づくのに


そんなに時間は、いらなかった。


「……っ、」


そっと離れるゆづくんの顔は

暗いけど赤くなってるって言うのはすぐわかった。


っていうか、こんな不意打ちのチューなんてずるい。


ドックンドックンと胸が鳴り

思い出しては体が熱くなって。


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