あずゆづ。

夜になって少し冷えきたため、

ゆづくんはパーカーを羽織っている。


ゆづくんは何を着ても似合うなあなんて思いながら、私より少し先を歩く彼の背中をぽーっと見つめていた。


「……ちんたらしてんじゃねーよ」

「え」


ふっと、ゆづくんがこちらを振り向いたと思ったときだった。

私の手がゆづくんの大きな手に覆われた。


「!?」


そのままぐっと力強く引っ張られ

私は歩道の壁側に

ゆづくんは車道側に並んで歩いてくれた。


「……ゆづくん…」


手は……繋がれたままだった。


「……礼くらい、俺にも言わせろよ」

「へ?」


小さく呟かれた言葉は、ギリギリ私まで届いてこなくて。



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