あずゆづ。
ゆづくんによって連れてこられたのは……なーんと屋上だった。
「はあ、はあ……あ、あのゆづくん……?」
恐る恐るゆづくんに話しかける。
ゆづくんに引きずられるがままだった私に、途中で『自分で歩けカス!』って言われて頑張って歩いてきた。
……のはいいものの、そもそも私とは足の長さが違うゆづくんのスピードに合わせて歩いたからゼエゼエと息が上がる。
腕はまだ、ゆづくんに掴まれたままだ。
あとゆづくん、今朝は余裕が無くて気づかなかったけど、今日は半袖タイプのワイシャツなんだね。
ああ愛しい上腕二頭筋……!!
ってそれどころじゃないでしょ私。
上腕二頭筋のあまりの美しさにキラキラと顔を輝かせるも、それどころじゃ無いことに気づいてにやける顔をいつもの凜々しいポーカーフェイスへとなんとか戻す。
(実際には戻せていないことを私は知らない)
「だからてめぇにそんな呼び方される覚えはねえっつってんだろメガネ女!! あとニヤニヤすんな気持ち悪ぃ!!」
くわっと牙を見せるゆづくん。
あれ!?
ポーカーフェイスに戻せていませんでした!?
(ここでやっと自覚した)
「ゆ、ゆづくんだって私のことメガネ女って……!!」
負けじとそう言い返すと、ゆづくんは少々目を見開いた。
「俺に歯向かう女はてめぇが初めてだぜ、このクソメガネ……」
ちょ、クソ追加されましたけど!?!?
「その根性に免じてその呼び方をするのは許してやらぁ」
「……あ、ありがとう、ございます……???」
「しかあし!!!!」
「!?」