あずゆづ。

そんな私を見て、はあとため息をつくゆづくん。

私ははっとしたように、ゆづくんへ単刀直入に聞いた。


「ていうか、どうしてゆづくん、あんなカッコを……?」

「あぁ? てめえには関係ねぇだろ」

「あるよ! ゆづくんがメイドさんをしてるっていうことは誰にも言わないよ? でも、それ守るなら事情くらいは教えてもらわないと……隠しようがないでしょ?」


……本当は、事情なんて知らなくても隠し通せるとは思う。

ゆづくんがメイドさんをしている、という事実だけを誰にも言わなければいいだけの話だから。


だけど私は、単に気になった。


だってあのゆづくんがですよ?

うさ耳をつけて、メイドさんをしてるなんて……
よっぽどの事情が無いとしないと思いませんか?


しかしこんなわかりやすすぎるハッタリ、さすがにバカなゆづくんでも効かないかな……


「ちっ……仕方ねえな」


ええ、教えてくれるの!?!?

ゆゆゆ、ゆづくんって意外と……本物のバカ……?!


「俺の姉貴があそこの店長なんだよ」

「ゆづくんの……お姉さん?」


とっさに私は、あの喫茶店にいた店員さん達の顔を思い出そうとする。


うーん、ゆづくんのお姉さんってことは、どこかしらゆづくんに似てるってことだよね?

……それらしい人は見当たらなかったけど……。

やっぱり意識して見てないから分からないよね……。


「で、今ちょうど人手が足りなくて、そんで手伝ってたんだよ」


へええ……
なんか……


「あんなカッコしてまでお手伝いするなんて……よっぽどお姉さんが好きなんだね、ゆづくん」


お姉さん思いなんだなぁ……。

素直に思ったことを口にすれば。


「あああ?!」


またもくわっと牙をむき出しにしてくるゆづくん。

あれれ!?違いました!?


「……てめえこそ、なんでだよ」

「へ?」


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