あずゆづ。


和泉 梓、高校生活始まって以来の出来事に戸惑いを隠せず、とりあえずニヤニヤしてしまっているという、大変キモイことになっています。


「本当それ!!」

「付き合ってるの!?」

「てか、怖くないの!?」


次々と襲いかかってくる女の子達の好奇心にまみれた質問たち。


「おおおお!?」


なんか、すごい質問攻めにあっているんですが!!!?

これ、ひとつひとつに答えていかなきゃいけないの!?



「え、ゆづくん?怖くないよ!!うん!!」


よくわかんないけど、とりあえずみんなはゆづくんのことを怖がっていて、私を心配してくれてるんだろう!

一瞬でそう解釈した私は、みんなを安心させるために、『心配ないよ!』の意味を込めてぐっと親指をたてる。

私を通して、ゆづくんの良さを分かってくれる人が現れるといいな。

同時にそう思って、ゆづくんの意外にも可愛いところがあるってことを話そうとしたとき。


「何してんだボケカスメガネ!!」


教室の外からゆづくんの声が聞こえてきた。

……もはや私はただのメガネですらなくなってしまったようだ。


「うわ、こわあ…」

「てか、優樹くんのこと『ゆづくん』って呼んでるの、女子で和泉さんだけだよ??」

「パシリとかにされてない?大丈夫~?」


お、おおおう。

ちょっとゆづくん!?

ひとがせっかくゆづくんのフォロー、もしくは名誉挽回をはかろうとしてあげたというのに!!

自分でそのチャンスをぶち壊したんだからね!

もう知りませんからね!!


「だ、大丈夫大丈夫!! じゃあ行くね!!」


これ以上待たせるとゆづくんが本当にキレてしまうので、すでに教室の外にいるゆづくんの元へと急いで向かう。


けど、ちょっとだけほっとした。


だって、あんまりたくさんの人とああして話したことないから、かなりびっくりした。



< 82 / 204 >

この作品をシェア

pagetop