過保護な騎士団長の絶対愛
「……ララ様を本当に愛しているのね?」

 そうはっきり図星を指されると戸惑ってしまうが、否定はしない。

 イザベルは拒否されるのがわかっていたかのように、苦笑いを浮かべ視線を逸らすとユリウスから身を離した。

 ララによって生かされ、輝きを取り戻したこの命。そしてララに魅せられた強さにユリウスは惹かれ、そしてその美しさに愛おしさを感じずにはいられなかった。それが愛しているということなのだ、とわかっていても認めるわけにはいかなかった。

コルビス王国の王族である彼女に、亡国であるヴァニスで生まれ、そして世の中から疎ましがられて生きてきた男の想いなど、決して許されることではない。

墓場まで持っていくつもりだった想いが、ララを見ていると時に暴発してしまいそうになる。ユリウスは、自分の想いが遂げられない分、ララを全身全霊で、ありとあらゆる災いから守り抜く、と胸にそう刻んでいた。


「大丈夫だ、そんな易々死んだりしない」


 その力強いユリウスの眼差しに、イザベルが諦めたように口元を歪めると、どこからともなく、ティナが白い羽をばたつかせて、イザベルの肩に乗っかる。


「ティナ、ご苦労様。ユリウスを呼び寄せてくれてありがとう。遅かったわね」


 イザベルがその褒美に餌をくわえさせると、ティナはクエッと嬉しそうに鳴いた。


 ティナが餌を咥えるのと同時に、嘴からはらりとなにか落ちた。


「これは……」

「ユリウス?」

 床に落ちた赤い線のようなものをじっと見る。それは女性の髪を結う時に使う髪紐だった。
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