過保護な騎士団長の絶対愛
「その昔、ヴァニス王国の襲撃を迎撃した際に、我々はクリフト王と穏便に話をつけるためにヴァニスに出向いた。しかし、彼はすでに亡き者になっていた。それをヴァニスの侍従たちが私がクリフトを討ったと思い込んでしまい、さらなる混乱を招いてしまったのだ」


 確かにクリフトは死んでいたと、ユリウスも聞いていた。どんな死に方をしたか興味もなかったが、ユリウスはモリスが人を簡単に殺めるような人ではないと思っていた。


「おそらくガイルは父親を私に殺されたと思い復讐するため、わが娘を連れ去ったに違いない。私がクリフトを殺したと思い込んでいるのならば、いつか私の元へ姿を現すだろうと思っていたが……」

 ユリウスは姿勢を正したまま、モリスへ注視を続ける。モリスは抑えきれない感情を殺すように頭を抱え込んだ。


 すぐにでもララを助け出さなくては。ユリウスは決意して口を開いた。
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