過保護な騎士団長の絶対愛
 湯浴みする部屋に連れて行かれると、サランは身ぐるみをはがすようにララのワンピースを脱がせ、声を上げる間もなく、ララはバスタブへ投じられた。

 ダークブラウンの長い髪がバスタブの湯を吸い上げ、徐々にしっとりと湿気を含んでいく。タイル張りの湯浴み室は、ララが身じろぎするとちゃぷんと水音を反響させた。

 温かな湯を満たしたバスタブには、ほのかな香油の香りが漂っていた。しかし、そんな高貴な香りを楽しむ間もなく、ララは湯からあげられ、泡をつけた布で磨き上げられた。慌ただしく湯浴みを終えると、ローブを着せられる。


「お座りくださいませ」

 そう言われてララは腰を下ろした。


 ユリウスに会いたい――。


 不安と寂しさ、そして今にも泣き叫びたい衝動がこみあげてきて、ララは両手を口に当てる。零れそうになる嗚咽を、ララは肩を揺らして抑えた。

そんな様子をサランは感情の読めない表情で、丁寧にララの髪を乾かして梳く。きっちりと結い上げた髪がほつれないように留めた髪飾りは透明な水晶があしらわれていた。高価なものだとわかるが、ユリウスが買ってくれたトレイビーの髪飾りを思うと、ララの頬に一筋の涙がこぼれた。


「あなたはお美しい」

 今まで無言だったサランがぽつりと呟くように言った。その声にララは涙をぬぐって俯いた顔を上げた。
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