過保護な騎士団長の絶対愛
「私がずっとお仕えしていたのは、ヴァニス王国の第二王位継承者であられます、ユリウス・メルヴィン・スティーガ様です」

 閉ざされていた真実がララの胸に突き刺さる。今まで知りたかったユリウスの過去。

 ユリウス・メルヴィン・スティーガ……それが、ユリウスの本当の名前――。

 十年も一緒にいるのに、初めてユリウスのことを知ったような気がした。

「当時、ヴァニス王国は近隣の王国を侵略し、帝国を名乗ろうとしておりました。しかし、コルビス襲撃に失敗したクリフト様はガイル様とユリウス様を置いてお亡くなりに……。それもきっと、コルビス王に討たれたのだと、そう思い込んでおりましたが――」

「そんな、父上はそんな無駄な殺生はしないわ」

 ララが大きく首を振って否定する。サランもわかっているかのようにその否定に頷いた。

「えぇ、ですが、その時は私たち侍女も混乱を来しておりましたゆえ。私はせめてもの武器をと幽閉されているユリウス様に剣を渡して、しばらくヴァニスを離れておりました」

 サランはそう昔を語りながら唇を噛みしめた。

「私は、私は……ユリウス様の侍女でありながらガイル様の守護兵に阻まれて、あのお方をお連れして逃げることができなかったのです。ずっと心の中ではユリウス様を気にかけておりました。数年が経ち、この王国を建国したガイル様に呼び寄せられて今に至ります」

「私、ユリウスがヴァニス出身だってこと、つい最近知ったの。私の侍女からそう教えてもらったわ。でも、十年も一緒にいるのに……私、彼のこと何も知らない」

「十年?」

 サランがその言葉に少し驚いた表情を見せる。
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