過保護な騎士団長の絶対愛
「そう、私もちょうどあなたに聞きたいことがあったのよ」

 格子越しからじっと見つめるララに、サランは何を聞かれても覚悟の上というように小さくうなずいた。

「ここには定期的に見張りの者が来るはずです。あまり私も長居できないのですが、ララ様にお伝えしたいことがありまして」

 廊下の奥をちらっと見ながら気にしている様子のサランに、ララは先に口をひらいた。

「サラン、あなたはユリウスのことを知っているのね?」

「……はい。ララ様も、ユリウス様のことをご存じのようですね」

 自分の質問に同じ質問をされて、ララが小さく頷くとサランは伏し目がちに俯くと言った。

「昨夜、ガイル様がどうしてもララ様とふたりでお話しがしたいというので、席をはずしておりましたが……ララ様の叫び声とユリウス様を呼ぶ声に、たまらず部屋に押し入ってしまいました」

「サラン、助けてくれてありがとう。あなたが部屋に来てくれなかったらと思うと……」

 思い出すだけでも昨夜の恐怖に身がすくむ。ララはサランに余計な気を遣わせまいと笑って見せた。

「あなたは本当にお強い方ですね、ほんとうに……」

 ララの笑顔に応えるようにサランも小さく微笑んだ。その表情にサラン本来の人柄が窺えるようだった。

「ガイル陛下は今ではシェリア王国の国王を名乗っていますが、元は亡国ヴァニスの第一王位継承者であった方です」

「え……」

「話せば長いのですが……ヴァニス王国にはもうひとり、第二王位継承者の王子がいらっしゃいました。しかし、ガイル様よりも優れた素質をお持ちだった第二王子を妬んだ正妃様が、城の地下室に幽閉してしまったのです」

「そんな……まさか――」

 その第二王子っていうのは――。

 その先は言葉にならなかった。血の気が失せていきそうな感覚に見舞われる。
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