過保護な騎士団長の絶対愛
 数日前のこと。


 ララから舞踏会の話を聞いた翌日。ユリウスはモリスに謁見した。


 入口から玉座までまっすぐに伸びる真紅の絨毯。そしてその左右に等間隔で騎士が細長い槍を手に無表情で立っている。ユリウスはモリスの座る玉座と適切な距離を取り、頭を垂れて傅く。


「仰せにより只今、罷り越しました」


 ユリウスが畏まると、モリスは小さく咳払いをして言った。


「よい、表をあげよ」


 その言葉を得ると、ユリウスはゆっくりとした動作で視線をモリスに向けた。


 モリスはユリウスにとって、恩人でもあり、生きていく新しい術を与えてくれた人物だ。ララと同様、心に誓った忠誠心は揺らぐことはない。


「舞踏会の話は聞いているか?」


 すると、モリスが前置きを省いて単刀直入に話を切り出した。


「はい、ララ様より伺いました」


「その舞踏会でララの警護にあたれ」


「御意」


 言われなくとも、ユリウスはもとよりそのつもりだった。しかし、次にモリスは予想外のことを口にした。
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