甘きゅん恋愛のすすめ
「つまり、何が言いたいかっていうとさ」
椅子から立ち上がり、謙は教室の扉の前に立った。
「”洸太なんか”が、誰かを思ったりするんだな、ってこと」
こちらを見るでもなく、誰かに言ってるわけでもなく。
呟くように、謙はそう言った。
そんな謙の背中を眺めながら、俺はふわ子のことを考えていた。
もちろん、もふもふして触り心地のいい、猫のこと。
「……じゃ、帰るわ」
それ以上何かを言うわけでもなく、謙は教室を出ていった。